【008】墜落する高級ブランド

2009 年 7 月 5 日 | カテゴリー: Note 001, 新聞記事, 書籍:購入検討中, 雑誌記事 | タグ:

ダナ・トーマス著「堕落する高級ブランド」(講談社:2009年5月)ダナ・トーマスの紹介。

「欲望」が「「価値」を驚愕する時、高級ブランドは墜落し、同時に危機に陥る。矛盾に満ちた過程をダイナミックに描き、読み応え十分(朝日新聞 2007.07.05 朝刊より)

高級ブランドの売上が冷え込んできた。その要因を行き過ぎた利潤の追求と、急激なグローバル化によるものと指摘している。贅沢、伝統、品質を売りにしてきた高級ブランド市場は、1990年代に起こったブランド統合により、創業一族とは無縁な資本家のマネーゲームの場と化している。(中略)著者は、元「ニューズウィーク」の記者。(週刊「ダイヤモンド 2009.07.11号」より)

【追記:2009年08月26日】
「asahi.com(朝日新聞社)::【レビュー・書評】:堕落する高級ブランド [著]ダナ・トーマス」より引用。

ルイ・ヴィトン、グッチ、シャネル、プラダなど、本書には日本人が大好きな数々のブランドが登場するが、単純なファッションの本ではない。高級ブランドが売り物にするきらびやかさは、驚くほど低い原価、それをさらに安くする海外生産と工程の省略、麻薬取引にも匹敵する偽物市場といった暗部と表裏一体だ。その現実を克明に取材したジャーナリストの筆からは、グローバル化時代に加速する、弱肉強食ビジネスの明暗が立役者とともに浮かび上がる。

例えばヴィトン帝国を仕切る実業家、ベルナール・アルノーは、フランスの特権階級のものだったブランドを、新興国の大衆消費市場に解放し、巨万の富を築いた。彼が使ったマジックは、創業家が守ってきた職人技の「価値」を買収し、ロゴマークとともに巧妙な大量生産と流通に乗せたこと。いうまでもなく、そのマジックに大きな貢献を果たしたのが、わが日本人だ。アルノー・モデルはその後、多くの老舗(しにせ)ブランドを巻き込み、高級ブランドのパンデミックともいう事態が世界中で起こった。

しかし今、ブランドに巨利をもたらした「価値」は、大衆化という矛盾を抱えて低下する一方だ。私たちの欲望を原動力に膨張するグローバルビジネスであるが、「欲望」が「価値」を凌駕(りょうが)する時、高級ブランドは堕落し、同時に危機に陥る。矛盾に満ちた過程をダイナミックに描き、読み応え十分。

[評者]清野由美(ジャーナリスト)

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