池田信夫氏が選ぶ2009年前半の「書籍 Best 3」
池田信夫氏に関しては、私個人として絶賛しているわけではないのだが、そのブログには、納得する、そして有益な情報が満載されていると感じている。最近では「池田信夫 blog Part 2::今年前半のベスト3」は興味深い。引用しておこう。(ナシーム・ニコラス・タレブ著「ブラック・スワン(上)」(ダイヤモンド社:2009年6月)は、既に読了している)
週刊東洋経済の「経済書・経営書ベスト50」のアンケートにきょう回答した。今年前半は、年間ベストワン級の訳本が3冊も出た:
【2009年10月01日:購入済】:ジョージ・A.アカロフ、ロバート・J.シラー著「アニマルスピリット」(東洋経済新報社:2009年6月)
(池田氏の書評)
投資水準を決めるのは、合理的な計算ではなく投資家の「アニマルスピリット」(血気)であり、大恐慌のような状況では、将来への不安が大きいために人々が萎縮し、アニマルスピリットが不足することが不況の続く原因だという。
著者はこのアニマルスピリットの概念を拡大解釈して、さまざまな経済現象を分析する。その分析用具は、人間の非合理的な行動を実証的な証拠にもとづいて明らかにする「行動経済学」だ。著者が使うのは、<安心>や<物語>など5つの概念である。
【2009年10月01日:読了】:ナシーム・ニコラス・タレブ著「ブラック・スワン(上)」(ダイヤモンド社:2009年6月)
(池田氏の書評)
太陽が昇らない可能性を心配する必要はないとしても、昨日まで高い収益を上げていた投資銀行が、突然姿を消すことがある。こうした現象を著者は「ブラック・スワン」と呼ぶ。今まで見た白鳥がすべて白くても、あす黒い白鳥が現れる可能性は排除できない。フランク・ナイトは、確率の計算できる「リスク」に対して、確率を計算する母集団のない事象を「不確実性」と呼んだ。金融工学の扱うのはリスクだけで不確実性には対応できないが、危機をもたらすのは後者である。
モハメド・A.エラリアン著「市場の変相」(プレジデント社:2009年2月)
(池田氏の書評)
世界経済危機について山のように本が出てきたが、日本人の書いた本には一次情報がなく、メディアですでに報じられた話をホッチキスで綴じたようなものが多い。これに対して本書は、元IMF(国際通貨基金)理事で世界最大の債券ファンドのCEO(最高経営責任者)が、グローバルな視野から投資戦略や政策を論じたものだ。執筆されたのは07年末だが、その後の危機をほぼ予測している。
今回の危機の根本原因は、古い金融インフラが激増する富の移動を支えられなくなったことにある、と著者はいう。グローバルに拡大する「明日の市場」が、古い金融システムや規制体系などの「昨日の市場」と衝突し、旧秩序を破壊しているのだ。昨日と明日の違いは、第一に経済成長のエンジンが欧米から新興国に移ったこと、第二に金融商品が多様化し、投資銀行やヘッジファンドなどの役割が大きくなったことだ。
1 と2はどっちにするか悩んだが、翻訳の早さでは1がまさる。2は先日、ダイヤモンド社の担当編集者にお礼をいわれた。私のブログから売れた数でも、最高記録だ。タレブの次の本”Tinkering”は来年春に出る予定で、これもダイヤモンド社が版権を押えたそうだ。テーマは、ブラック・スワンの逆に予想を裏切る「イノベーション」。
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